「歯と口の健康週間」は具体的にどんなことを行っているのでしょうか?
日本歯科医師会では毎年標語を決め、それを載せたポスターを作成し、いろいろなところへ配布しています。
他には新聞への掲載や歯科診療所の掲示用ポスターの作成、イベントの開催、テレビCMの放映などを行っています。
それ以外では、この「歯と口の健康週間」が行われている1週間で、全国各地でさまざまなイベントが開催されています。
地域によってやっていることは異なりますが、歯科検診、歯や口の健康相談、口腔癌検診、歯磨き指導、食生活指導、フッ化物塗布、口臭測定、入れ歯の相談、歯列矯正の相談などを実施していたり、クイズやショーなどをやっていたり、歯ブラシなどがもらえるところなどもあるそうです。
各自治体によって異なるので、問い合わせてみる、またはネットなどで検索していただくといいと思います。
ほとんどが無料でやっているので、最近歯科検診を受けていない方や、歯医者に行くまでではないけど気になるところがある方、ちょっと矯正に興味がある方はぜひ行っていただくといいと思います。
お子さんでも楽しめるように、クイズやショー、人気のキャラクターで盛り上げる、実際に体験出来るコーナーを作るなど、さまざまな工夫しているところも多いです。
子供から大人まで、楽しみながら自分の口腔内について知り、そして考えるきっかけになると思います。
ぜひこの機会を利用していただいて、口腔内について少しでも理解を深めてみてください。
そして学んだことはぜひ実践するようにしてください。
歯がしっかりあることで、物を噛むことができ、食事を摂ることができます。
食事は生きていく上で欠かせない物であるため、歯があることはとても重要です。
しかし噛むということには他にもたくさんの役割があるのです。
例えば、脳を活性化する働き、発音を正しくする働き、力を入れる時に踏ん張りバランスを取る働き、顔の表情を保つ働きなど、食事をするということ以外でも生活をする上でこんなにたくさんの働きをします。
それから、お口を健康に保つことで、全身の健康にも繋がる場合があります。
糖尿病は以前より、相互的に影響するということが確認されていました。
糖尿病の方は歯周病になりやすく、歯周病の方は糖尿病になりやすいということです。
それ以外にも、お口の中の細菌が身体の中に回ることにより誤嚥性肺炎や心疾患、妊娠されている方は早産や低体重出産などになる場合もあります。
特に高齢者の方は飲み込む力が弱くなり、むせることもうまくできず反射神経が衰えることで、お口の中の菌が唾液と一緒に気管の方へはいってしまい、その結果、肺炎になってしまうことが少なくありません。
寝たきりの方は自分で口腔内のケアができない場合があり、疎かになりがちです。
または、震災の時は水不足などで口腔内のケアが後回しになりがちで、そういった時に口腔内の細菌が増え、誤って気管に入ってしまう誤嚥性肺炎が震災関連死の原因の1つでもあります。
このような、お口と全身の関係がどんどん分かってくるようになりました。
2011年に改正された「歯科口腔保健の推進に関する法律」で「歯のみでなく口腔及びその周囲等の健康を増進していくことを目的とする」と定められたというのはこのようなことも含めて改正されたのではないかと思います。
歯と口の健康週間について、どのようなことをしているのか理解できたでしょうか?
この記事を読んでいる皆さんは、自らネットなどでお口の中の情報を得ることができると思います。
しかし、ネットには間違った情報があったり、口腔内にはあまり関心がない方や高齢者、お子さんはなかなか自分ではこのような情報を得ることができなかったりする場合も多いと思います。
1年に1度しかない歯と口の健康週間ですが、ぜひその機会に身近にいる方たちに声をかけていただき、それぞれの場所でやっているイベントに出かけてみたり、口腔内の情報を共有していただけたりするととても嬉しく思います!
いつまでも健康で自分の歯でお食事をしていただきたいというのが私たち歯科に関わる者たちの願いです。
正しい情報を得て、しっかり実践をし、将来の自分のために健康な状態の口腔内を保つように心掛けましょう。