たまに、患者さんから「差し歯とインプラントはなにが違うんですか?」という質問をされることがあります。
みなさんは差し歯とインプラントの違いについて正確に答えられますか?
どちらかの治療をすでに行っている方でしたら、すぐに分かるかもしれません。
意外と、名前はどちらも聞いたこともあるけど、違いがよくわからない、どちらもなにをするのか曖昧な人が多いのではないかと思います。
差し歯とインプラントでは、治療が適用となるお口の環境、治療方法、治療期間、費用など、全てがまったく異なります。
歯科医院では「差し歯とインプラントでどっちにしよう?」と迷うことはありませんが、知識として知っておいた方がいいと思うので、今回そのことについてお話していきたいと思います!
簡単に言うと、差し歯の場合は自分の歯が残っている時に行います。
そしてインプラントの場合は自分の歯を残せずに抜いてしまった部分に適用となります。
差し歯の場合は、虫歯が大きくて神経を残せない、ぶつけた衝撃で歯が欠けてしまった、その他にもなんらかの原因で神経が中で死んでしまった場合に、
歯を削って神経の処置をしてから薬を詰め、形を作って、そこに土台となる心棒を入れ、その上に被せ物をします。
そのため、まだ自分の歯の根っこが残っている状態です。
それに比べてインプラントは、歯を完全に抜いてしまった部位に適用されるものです。
人工の歯根となるものを骨の中に入れ、骨とくっつけて固定させます。その上は差し歯と同じように被せ物となる歯の上の部分をつけるのです。
そのために外科処置となります。
最終的には両方とも被せ物をつけます。
差し歯の時の保険治療は金属なのでまた別ですが、セラミックなどの自費治療にした場合は被せ物をつけるのに見た目はあまり変わらないため、どっちがどっちかよくわからない人が多く、差し歯とインプラントを混同してしまうのかもしれません。
歯のあるところにインプラントは行えないですし、歯のないところに差し歯を入れることもできません。
このように差し歯とインプラントでは自分の歯が残っているか、いないかでどちらを行うのかが変わってくるのです。
そしてインプラントは外科処置をするため、治療方法もまったく異なります。
自費治療でしか行えず、インプラントの相場は30万〜50万といわれています。差し歯の場合は保険治療もあり、自費治療でも、高くて15万円前後です。
差し歯とインプラントはこれだけ異なるものなのです。
例えば、虫歯や歯周病でもう歯を抜かなければならない、歯が割れてしまって残すことができない…
このような場合は、残してしまうと逆にお口の中に悪影響が出てしまうので、無理に残す必要はありません。
ただ、たまに「歯並びや歯の形、角度が悪いから削って被せ物をしてきれいにしよう」とか、「抜いてしまってインプラントにしよう」という方がいます。
そして稀に、歯科医師でもそのような考えをする、進めてくる人がいます。
患者さんは自由に選択できるのでやってはいけないとは言いませんが、もしそれを行う際は、デメリットをしっかり理解し、それでもいい場合のみやるべきだと思います。
削って被せ物をするとなると、神経まで取る場合が多いです。
神経を取ってしまうと痛みなどを感じることができません。それによって虫歯が進行してしまっても気づかず、いつの間にか大きな虫歯になっているということがあります。
神経を取ってしばらく経つと、根っこの先に膿ができることもあります。
そうするとせっかく作った被せ物を壊して外し、再治療をしなければなりません。
また、神経を残していても、普通の歯より汚れが残りやすくなってしまうので、虫歯になりやすいということには変わりありません。
歯並びが悪い場合は歯列矯正できれいにすることができるのですが、歯列矯正をするのは2年前後という長い時間がかかってしまい、矯正装置がつき、毎月のように通わなければいけません。費用もかかってしまいます。
それらを理由に被せ物の選択をしてしまう方、勧める歯科医師がいます。
しかし、後々出てくるかもしれないデメリットを考えると、そちらのほうが大変になってしまうかもしれないのです。
そのため、手軽にやるものではありません。
これらを理解し、それでもやりたいという場合のみ、行うようにしましょう。